DLカメラは3Dカメラの技術を用いて2次元の被写体の輪郭情報だけではなく、被写体の体厚(深さ方向)を認識することができる。DLカメラは寝台直上の天井に設置されており、あらかじめ撮像プロトコルにランドマーク部位を指定することで、ランドマーク、スカウト撮影範囲および寝台高さを自動で決定することができる(図1)。その後CTオペレータはガントリに設置してあるタッチパネルよりスカウト撮影範囲を確認するだけで速やかにスカウト撮影に移行することができる。
CT撮像は患者をガントリ中心にポジショニングすることは基本であるが、従来は目視でレーザーを確認し、患者の体厚に合わせて寝台高さを調整するためオペレータによるばらつきが生じていた。
しかしDLカメラを用いることでオペレータによる寝台高さのばらつきが有意に小さくなりCT撮像の再現性が向上した(図2)。さらにDLカメラは使用する施設の固定具など状況に合わせた適正な寝台位置になるように調整する機能を有しており、工場出荷時の寝台位置を施設ごとに最適化することができる。
図1 DLカメラによるスカウト撮影範囲の自動決定
患者が寝台に横になると瞬時に人体を認識し、自動で設定したスカウト撮影範囲が表示される
図2 被写体中心からの寝台高さ誤差
目視による従来のポジショニングでは被写体中心からの誤差が-0.92±16.15 mmであり、DLカメラ導入後では被写体中心からの誤差が-0.77 ±3.74 mmとなり、有意差を持って寝台高さのバラつきが解消されている
また救急医療ではDLカメラがリアルタイムで寝台上を映すことで、点滴や挿管チューブ、生体監視モニターなど患者以外の様々な機器を一目でCTガントリに接触すると認識することができる。さらに自動でスカウト撮影範囲を認識し表示する機能があり、表示精度も担保されており微調整を行う程度である。現在のところDLカメラで認識できなかった事例はなく、速やかにスカウト撮影まで移行することが可能となっている。