Allia IGS740の特長はWorkStationの豊富なアプリケーションとの連動であり、術前CTAの画像を透視と重ねる3D Roadmap(Vision2)機能は一般的な機能となってきている。3D Roadmap機能を使用するにあたって、血管撮影装置専用のWorkStationで術前CTAを解析し必要な3Dデータを構築する作業が大きな懸念として挙げられるが、Advanced Workstation Volume-Share7(以下:AWVS7)の術前CTAデータ解析ソフトがサポートし、診療放射線技師として3D Roadmap機能を使用することを容易にしている。
下肢血管における使用例を示す。術前CTAではAortic bifurcationからの完全閉塞となっていた(図5)。完全閉塞部分へのアプローチに対して難渋することが予測されたため、下肢血管解析結果を用いた3D Roadmap使用を検討した。AWVS7は下肢血管解析ソフトを用いることで自動的に血管、骨(術中3D Roadmapの位置合わせ用)を作成する(図6)。狭窄症例などでは自動作成された血管3Dを透視と重ねる3D Roadmapが治療サポートになるが、CTO症例ではワイヤーを進めるためのラインの有用性に着目し、CTO部分を含めた血管センターラインを作成した(図7)。血管センターラインはワイヤーを進める際のReferenceとして有用(図8)であり、3次元での位置情報を有したラインであるため、角度変更やFOV変更、テーブル移動にも追従する。また治療前のDSAでは表示されないTrue面を表示させることは、手技を進めていく中で有用なサポートになったと当院医師よりフィードバックがあった。3D Roadmapは術中にボリュームレンダリングの透過度変更や表示の有無、センターラインの表示の有無も変更可能である。CTO部分を通過させている場合にはセンターラインの表示、通過後のバルーン拡張やステント留置時にセンターラインではなく、ボリュームレンダリング表示による病変部の逆描出など場面に合わせた変更を可能としている。また任意5倍までのデジタルズーム表示機能もあり、今後の症例で使っていきたい。
図5 DSA画像(左図は術前、右図は術後)
図6 自動生成された術前CTAの血管、石灰化、骨のVolume
図7 CTO部分を含めた血管解析によるセンターラインとLumen View表示
図8 術中での3D Roadmap(左図は血管Volume、右図は石灰化Volumeをfusion)
完全閉塞部分を含めた血管センターライン:緑色