1. 装置本体
当院のマンモグラフィ検査室は階段下という特殊で極小な部屋のため、X線発生器が複数ある場合や装置本体が大きいと動線が悪くなるおそれがありました。しかし、Crystal NovaはX線発生器も1つで小さく、本体もとてもコンパクトで以前のCRの装置よりも小さいのではないかと思えるくらいでした。
また、装置本体が綺麗なパープルなので壁紙や床と統一感を持たせて柔らかな印象の撮影室になりました。
Fig.3 階段下 撮影室
Fig.4 Crystal Nova 撮影室
2. ポジショニング
CRからFPDへ移行することで今までのポジショニングが通用するのかとても不安でしたが、実際にCrystal Novaを初めて使用したときに何の問題もなくポジショニング出来たことにはとても驚きました。やはり一番のこだわりでもあった乳房支持台の形状のおかげだと思います。Fig5を見ても分かるように、Crystal Novaの乳房支持台は非常に薄く作られているため、腋窩が乗せやすくポジショニングが容易にできます。さらに奥までほぼ同じ厚みを保っていることにより車いすでの撮影もとてもスムーズに行うことが可能です。また、以前の装置ではアームレストが握れるようなバータイプになっていましたが、Crystal Novaは溝のようになっており力が入りにくい設計になっています。そのため、大胸筋も綺麗に凸を描くことが多くなりました。
Fig.5 乳房支持台
コンソールの画像確認用のモニタは可動式なのでRISと隣り合わせて置くことで前回の画像との比較が容易になりました。前回の画像を簡単に確認することが出来るようになったことで、病変の有無、ポジショニング時の留意点、圧迫板の選択など様々なことが事前に分かるようになり以前よりも質の良い写真を提供できるようになったと自負しております。
圧迫板は標準サイズ(Sliding)に加え、分割して撮影するような大きな乳房の方に向けた24×29サイズ(Standard)と小乳房用(small&ID)がありとても重宝しています。
標準サイズ(Sliding)の圧迫板を使う場合には、撮影毎にスライドさせて使用します。CRにはなかった手順だったので少々戸惑いましたが、圧迫板と照射野が合っていないとお知らせメッセージが表示されるようになっています。また、撮影メニューで圧迫板の種類が確認できるようになっています。Crystal Novaを導入して約5ヶ月が経ち身体が当たり前のように動くようになり、特に難しいと感じることはなくなりました。
Fig.6 コンソール
Fig.7 圧迫板、コリメーター
3. 被ばく、画質
乳腺密度の測定とCNRにより最適な撮影条件を選択してくれるAOPモードのおかげでとても少ない被ばく量で高画質の撮影が出来ています。CR 時に比べるとスキャン時間が生じるため、やや圧迫されている時間が長く感じますが、乳房支持台が優しく丸みを帯びたデザインのため受診者の方はさほど苦痛と感じないようです。むしろ、今までのマンモグラフィと比べて『痛みが少なかった』『もう終わったの?』という声を多く聞くようになりました。
サンプリングサイズが100μというのは他社と比較しやや大きく不安要素の一つでしたが、臨床において違いが分かるほどの差は全くありません。ほぼピクセル等倍でモニタ表示されるため年間約2000件の読影を行っている読影医の負担が少しでも減るメリットの方が大きいです。そして、サーバーの負担もかなり違ってきます。1枚当たりの容量が約9MB と他社と比較し圧倒的に小さいため、他のモダリティとサーバーを共有している当院にとってはかなりのメリットです。
また、フィルム診断からモニタ診断へ移行するため読影に支障がでるのではないかと心配していましたが、Crystal Novaにはつ4つのeContrastレベルがあり読影医の好みに合った画像を提供できるためとても好評でした。
Fig.8 eContrast