① 同時併用乳がん検診の導入
J-STARTの経過報告からもマンモグラフィ画像を参照しながら乳房超音波検査を行う同時併用乳がん検診が望ましいとされています。しかし、両方の検査を担う当院の診療放射線技師のマンパワーを考慮すると検査件数が多くなってきた場合、現実的に運用が難しいと考え、当院では同時併用検診を地域に啓発していくため、デジタルマンモグラフィ装置(トモシンセシス機能付き)と、従来型ハンドヘルド乳房超音波装置(以下HHUS)に加えて、ABUSを開業と同時に導入しました。
運用は乳がん検診のみとし、乳房超音波検査の併用を希望された患者様に対してHHUSとABUSの違いを説明したうえで、ABUSを選択された場合は技師の指導ものと主に看護師が検査を行い、読影はMMGとABUSを同時に行い、診断結果レポートを後日郵送にて報告しています。
② トモシンセシスの活用
検診ではトモシンセシスをオプションとしてご案内しています。今年は企業にも当院で検診を受けてもらうようなご案内をしています。お話をさせて頂く企業の担当者は女性が多く、通常のマンモグラフィ検査とトモシンセシスの違いを説明すると共感頂けることが多いと感じています。企業検診の契約特典としてトモシンセシスを提案しています。
また、テレビにも数回出演したことで、当院のトモシンセシスは「痛みが少ない検査」「松江にはこれまでなかったので珍しい」ということで宣伝ができてきているのではないかと思っています。
【症例紹介】
- MMG所見:右乳房M/O域 FAD+、淡く不明瞭な石灰化が集簇性にあり、カテゴリー3
- トモシンセシス:16.5㎜大の分葉形等~高濃度腫瘤あり、境界は微細鋸歯状、構築の乱れを伴い、淡く不明瞭な石灰化伴う→存在診断がより明確になりカテゴリー4にあがる症例
- 病理組織:Invasive ductal carcinoma scirrhous type
- MMG所見:左乳房M/L,I域 41㎜楕円形等濃度腫瘤あり、スピキュラ+
- トモシンセシス:M領域 構築の乱れが顕著化
- 病理組織:Invasive ductal carcinoma scirrhous type
③ 受診者への追加検査のご案内
マンモグラフィ撮影後は受診者にその場で画像を見て頂いています。操作卓の高精細モニターを使い、撮影直後にご自分の乳房画像を見て頂いています。私たちは高濃度乳房か否か、高濃度乳房のリスクについて説明し、超音波検査との併用検診や、トモシンセシスの追加により、高い精度で検診ができることをご案内しています。自分の画像を見ることで、乳がん検診に関心を持って頂きやすく、今年はトモシンセシスの追加をしよう、次年度は超音波検査との併用にしようかと、受診者とのコミュニケーションにも繋がっています。
④ SNSの活用
乳がん検診の重要性を周知させるためにもSNSを活用して発信しています。島根県の女性の検診に対する意識をあげることにも貢献したいと考えています。