Pristina装置について
CRからFPDへ移行したことで、検査時間が大幅に短縮しました。次撮影までの待ち時間もないため、ストレスなく検査を行うことができています。乳房支持台の丸みを帯びたデザインに関しては、受診者様から痛くないという声を多く頂いています。圧迫については、圧迫板が乳房にフィットし包み込むように均一に圧迫されるため、乳房全体がしっかりと押さえられていると感じます。そのため、以前よりも痛いと訴えられる受診者様が少なからずいらっしゃいます。その都度受診者様に画像はとてもきれいなりましたとお声かけするとある程度の痛みは納得され、検査を受けていただけます。
また、導入当時はできなかった3Dフェイスシールドのみの販売が可能となり、本年9月から3Dフェイスシールドを使用して通常撮影を行うようになりました。このフェイスシールドのおかげで、ポジショニング時の受診者様の顔や首の負担が減り、撮影者も映り込み部位に気を取られることが少なくなったことで、一層ポジショニングに集中できるようになったと感じています。
写真3 通常用フェイスシールド(上)
3Dフェイスシールド(下)
画像について
当院では導入時から e-contrast3にて運用しています。CRからの移行のため当初は少しコントラストが強すぎるかと案じていましたが、特に高濃度乳房に対しては乳腺内・外コントラストがよいと外科医から好評です。導入前の懸念事項として、オート撮影時、放射線等価厚3.5㎝以下は26Kv、それよりも厚い乳房は34Kvと電圧が固定されるという点がありました。そのため検査時左右で違う線質になったり、あるいは過去と違う電圧を選択したりすることが生じますが、実際に使用して現在まで違和感なく読影を行うことができているように思います。サンプリングサイズは100μと他社よりは大きめですが、以前はわかりづらかった微細石灰化もはっきりと描出され、メリットとしてピクセル等倍でも画面からはみ出すことなくスムーズに読影を行うことができています。
また、今回の更新に併せて読影用モニターに山口県初の12Mを外科外来とマンモ撮影室に導入しました。当院では以前から撮影時の気づきや撮影後の画像で気付いたところを外科医にメモ書きで渡す運用を取っています。あえてレポートよりも敷居を低くして伝えやすくするために現在もこの方法で行っています。現在は検査時間が短縮したぶん、撮影後の読影により多くの時間を費やすことが可能となり、過去画像と比較をしながらポジショニングの反省や画像の観察ができるようになりました。
写真4 マンモグラフィ撮影室横読影端末
Serenaについて
Pristina更新後、画質が向上したことで以前はわかりづらかった淡い石灰化も鮮明に見えるようになり、生検の件数は以前よりも増えています。
当院の運用上、ポジショニング・Serena・今回マンモトームからの更新となったEncorの操作は基本的には技師1名で行います。旧装置では針の微調整などある程度経験を必要としていましたが、現在は視覚的に針先とターゲットの位置がわかるため経験が多くなくてもスムーズに検査を行うことができるようになりました(図1)。
体位は旧装置から座位にて行っていたため、現在も同様の体位で行っています。旧装置で側臥位にて行っていた時期もありましたが、ターゲティングに時間がかかる上、生検専用の寝台ではないためか体位の保持が難しく検査時間が延長する傾向にあったため、座位に変更し現在に至っています。このため患者さんの負担を考えると少しでも検査時間を短縮することが必要となります。Serenaは、ユニバーサルグリッドや画像処理(バイオプシ時は通常と別のe-contrastを設定)のおかげで石灰化が見やすいこと、また有効視野サイズも11×12と圧倒的に広くターゲティングが容易に行えるため、ポジショニングが決定した後はスムーズに組織採取まで行うことができます。採取した組織は、組み替えることなく標本撮影ができ、石灰化の有無がスピーディに確認できます。前装置ではポジショニングから標本撮影まで40分から1時間程度時間を要していましたが、現在は15分~30分と大幅に短縮しています。Serena導入後現在まで約1年で12件ですが、全例で石灰化を採取できています。以前と比べると、短時間にそして確実に検査を行うことができ、患者様の負担も操作者の負担も大幅に減りました。検査時間が短縮したことで、外科医も時間のスケジュールが組みやすくなったと喜ばれています。他院からの生検のための紹介患者さまも少しずつ増えており、今後さらに短時間で終わらせるために速やかにポジショニングを決定することが課題となります。
図1 アプローチ不可の場合、ターゲット送信ができない
問題を説明するアイコンが表示される
写真5 標本撮影風景