当院のPET依頼科は約6割が呼吸器科と血液内科であり、以前の装置では、デバイスを用いた呼吸同期が煩雑なため行っていなかった。その為、度々肺野・腹部領域におけるミスレジストレーションを経験しており長年の課題でもありました。
そこでDiscoveryIQ 2.0では、デバイスなしでの呼吸同期収集が可能なデバイスレス呼吸同期 Advanced MotionFree (以下、AMF収集)の機能と超短時間でも良好な画像を再構成できるQ.Clearを駆使した息止めPET収集(以下、BH収集)、の2つの方法を使い分けています。AMF収集とBH収集の使い分けにより、ほぼミスレジストレーションは無くなりました。
・AMF収集
AMF収集を用いることによって、ほとんどの症例でミスレジストレーションと集積のボケが改善されました(図4)。
当院ではローテーションにより技師がPET撮影を担当しており、特別な設定が必要なく全自動のAMF収集は安定した画像の提供を可能にしました。
図4:上行結腸癌術後、再発疑いにて転移検索
(a) 通常収集、(b) AMF収集
・BH収集
AMF収集を使用し呼吸性移動による画質の低下は改善されました。まれにではあるがCTとPETのミスレジストレーションが起こった場合には、Q.Clearの再構成で10秒程度の息止めの撮影も行なっています。特に肝上縁と肺野の境界部分に病変がある場合に、限りなくミスレジストレーションのない画像を提供出来ます(図5)。
放射線科の読影医からはAMFでも十分ミスレジストレーションはないが、BH収集ではCT、PET共に息止めすることにより、よりリアルな腫瘍の大きさを測定できると言われています。息止めPETのような超短時間収集でも良好な画像が提供できるのは、高感度BGO検出器+Q.Clearの利点の1つだと考えています。
図5:悪性リンパ腫肝転移症例
(a) 通常収集、(b) BH収集