必見! BGOクリスタルを用いた高感度PET装置DiscoveryIQ2.0の臨床機としての評価


岩手県立中部病院
放射線技術科 滝村 悠太 様

施設紹介

 

岩手県北上市に所在し、当院は花巻市、北上市を中心に24万人を対象人口とした中部圏域(西和賀、北上、花巻、遠野)の広域基幹病院で、地域がん診療拠点病院、地域医療支援病院、災害拠点病院として主に急性期医療を担っています。25の診療科を持ち、434床(一般390床、緩和24床、結核20床)を持つ二次救急指定病院です。地域の医療機関と連携し、がん診療、結核診療、がん緩和ケア、周産期医療にも力を入れ、良質で安全な医療を心がけています(図1)。

 

岩手県立中部病院
マスコットキャラクター
図1:岩手県立中部病院、マスコットキャラクター

 

DiscoveryIQ 2.0の選定理由

 

更新前はGEヘルスケア社製DiscoverySTを使用していましたが、装置の老朽化に伴い、更新となりました。
選定理由の主なポイントとしてはBGOクリスタルを使用した高感度検出器であること、表示付き認証機器による線源及び、管理の簡略化です。岩手県は四国ほどの面積を有する県であり、当院がPET装置を保有する県最南端の施設です(図2)。当院では他院からの紹介率が45%ほどであり、県南の検査を請け負う施設の特性上、装置更新により検査時間の短縮と更新期間のダウンタイムの最小化が求められました。
これらの要望を満たす装置が、DiscoveryIQ 2.0でした(図3)。

 

岩手県立中部病院所在地
図2:岩手県立中部病院所在地
DiscoveryIQ 2.0
図3:DiscoveryIQ 2.0

 

呼吸性移動への対策

 

当院のPET依頼科は約6割が呼吸器科と血液内科であり、以前の装置では、デバイスを用いた呼吸同期が煩雑なため行っていなかった。その為、度々肺野・腹部領域におけるミスレジストレーションを経験しており長年の課題でもありました。
そこでDiscoveryIQ 2.0では、デバイスなしでの呼吸同期収集が可能なデバイスレス呼吸同期 Advanced MotionFree (以下、AMF収集)の機能と超短時間でも良好な画像を再構成できるQ.Clearを駆使した息止めPET収集(以下、BH収集)、の2つの方法を使い分けています。AMF収集とBH収集の使い分けにより、ほぼミスレジストレーションは無くなりました。

 

・AMF収集
AMF収集を用いることによって、ほとんどの症例でミスレジストレーションと集積のボケが改善されました(図4)。
当院ではローテーションにより技師がPET撮影を担当しており、特別な設定が必要なく全自動のAMF収集は安定した画像の提供を可能にしました。

 

DiscoveryIQ 2.0
図4:上行結腸癌術後、再発疑いにて転移検索
(a) 通常収集、(b) AMF収集

 

・BH収集
AMF収集を使用し呼吸性移動による画質の低下は改善されました。まれにではあるがCTとPETのミスレジストレーションが起こった場合には、Q.Clearの再構成で10秒程度の息止めの撮影も行なっています。特に肝上縁と肺野の境界部分に病変がある場合に、限りなくミスレジストレーションのない画像を提供出来ます(図5)。
放射線科の読影医からはAMFでも十分ミスレジストレーションはないが、BH収集ではCT、PET共に息止めすることにより、よりリアルな腫瘍の大きさを測定できると言われています。息止めPETのような超短時間収集でも良好な画像が提供できるのは、高感度BGO検出器+Q.Clearの利点の1つだと考えています。

 

DiscoveryIQ 2.0
図5:悪性リンパ腫肝転移症例
(a) 通常収集、(b) BH収集

 

高感度検出器を活かした臨床検査

 

高い感度を有するDisoveryIQ2.0では、高感度BGO検出器+Q.Clearの組み合わせにより、以前の装置より高画質な画像を提供出来ています。当院は読影医一名が全てのPET検査を読影している為、高画質のPET画像は読影する医師の負担軽減にも繋がっています。DiscoveryIQ2.0導入後、小児のPET検査を経験しました。小児科の主治医からは最小限の鎮静で検査を行って欲しい、また患者様の観察を検査室内で行いたいという要望がありました。DiscoveryIQ2.0の特徴である高感度BGO検出器+Q.Clearの組み合わせにより、10分もかからずに検査を終えることができました(図6)。短時間で検査を行えたことは、体動や覚醒が起こらないうちに検査を終えられただけでなく、主治医の被ばくも低減でき、良かったように思います。

 

短時間検査を実施した小児症例
図6 短時間検査を実施した小児症例
(a) MIP、(b) PET Coronal、(c) Fusion Coronal

 

今後の検討事項とまとめ

 

更新前のDiscoverySTと比較すると感度が2倍以上になり、Q.Clearの画像再構成の恩恵を受けたことで、以前より収集時間を短縮しました。現在は読影医と相談し、さらに投与量低減が可能かどうか検討中になります。DiscoveryIQ2.0を使用してみて、臨床機として必要十分を満たす良い装置であると感じています。

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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