AW Serverでは任意のレイアウトを作成することができ、Early用、Delay用、CT用、頭部専用と主に4つの自分専用にカスタマイズされたレイアウトを使用して読影をしています。AW ServerはWindows上で起動させることが出来るため、自分で外部ツールを利用してマクロを組むことで画像表示や画像スクロールを自動化し、使用しやすいようにカスタマイズしています。例えば読影する際には頭頂部から読影を行うようにしていますので、1ボタンで画像を表示した際に頭頂部に移動し、かつPET及びCTが脳の表示条件になるようにカスタマイズして使用しています。
当院ではDelay収集を生理的集積との鑑別を目的に行うことがあります。Delay収集の頻度はDiscovery IQによる画質向上効果もあり、全体の約3%程度と少なくなりました。実際にDelay収集を行った際にはDelay用のレイアウトでEarly画像との比較読影をしていますが、AW Server上でEarly画像、Delay画像のスライス位置調整を自動で精度よく実施してくれるので便利だと思います。
また、読影に役立つAW Server上のアプリケーションとしてPET VCAR、Bone VCARのアプリケーションを使用していますので、その活用例を紹介します。
・PET VCAR
悪性リンパ腫や多発骨転移においてSUVが一番高い集積を見つけるのにPET VCARの多病変検出機能を利用しています。PET VCARでは病変を抽出するためのSUV閾値とその適応範囲を設定することによって、複数の病変を自動で抽出してきてくれます。最終的にサマリーテーブルを使用することで、複数のVOIの中で最もSUVが高い病変をすぐに確認出来るようになりました。この機能により、多病変の症例においてSUV測定が簡便になりました。
以前使用していたビューワーでは高い集積を複数箇所手動でSUV測定をし、その中でSUVが最大の集積を読影レポートに記載していました。この場合は多くの時間がかかっていましたが、PET VCARを使用することによって読影効率が向上しました。多いときには1日1例程度、悪性リンパ腫の症例があるので、日々有効活用しています。
50代 男性 悪性リンパ腫:治療前の病期診断のためFDG-PET検査施行
任意の閾値以上のSUV(例 SUV>6.5)を抽出し、SUVの高い順にサマリーテーブルから確認可能
・Bone VCAR
Bone VCARとは、読み込んだCT画像から椎体の番号を自動でラベリングしてくれる機能です。椎体に圧迫骨折がある場合や異常集積がある場合に使用しています。読影レポートを作成する際に集積位置を椎体の何番目にあるかを記載することがありますので、その際に自動でラベリングする機能が役に立っています。
50代 男性 肺がん:術後腫瘍マーカー上昇のためFDG-PET検査施行
C7(SUVmax=10.28)の棘突起、C4(SUVmax=5.44)椎体等に転移あり
(写真ではわかりにくいが、左端の画像で椎体の前方にレベルが表示されている)