177-ルテチウムは放出されるβ線で腫瘍細胞の治療を行いますが、同時にγ線も放出するため、ガンマカメラでシンチグラム画像を取得することが可能です。これは「セラノスティクス:Theranostics」と言われ、治療(Therapeutics)と診断(Diagnostics)をより密接な関係で行うことが可能です。
当院では2021年度に半導体検出器搭載の全身用SPECT/CT装置であるNM/CT 870 CZT(GE Healthcare)を導入しました(図2)。CZT検出器は250 keVまでのγ線に対応しており、中エネルギー用MEHRS(Medium Energy High Resolution & Sensitivity)コリメータ導入によって111-インジウム等の比較的高いエネルギーの核種が撮像可能です。これまで、PRRT導入に先立ってインジウムペンテトレオチド(111In-pentetreotide)の収集をNM/CT 870 CZTで行ってきました。また、177-ルテチウムに対しても高カウント領域での直線性がアンガー型ガンマカメラより優れていることが報告されています(図3)。
図2 装置概観(NM/CT 870 CZT)
図3 CZT検出器とNaI検出器の計数率特性
※青色:CZT 黒色:NaI(GE提供資料)
ルテチウムオキソドトレオチドを投与された患者は、翌日からシンチグラムを撮像します。そこでルテチウムの被ばく線量評価のため、投与から20時間後と30時間後、48時間後に全身画像、30時間後にはSPECT-CT画像を収集しています(図4)。
図4 177-ルテチウム画像(左:全身像 右:SPECT-CT画像)