NM/CT850は8列の吸収補正用CTを搭載したSPECT/CT装置となります。当院では吸収補正用CTを有効活用し、骨、心臓、頭等の様々な検査でCT撮影を行っています。今回はその一部をご紹介させて頂きます。
骨シンチグラフィ
骨シンチグラフィでは全例でSPECT/CT撮影を行っています。吸収補正用CTであるため最大管電流が30mAと聞いており、当初はFusion用のCT画像としての画質に不安もありましたが、期待を超える十分な画質が得られています。また、Smart Consoleを利用することで、骨シンチグラフィで収集するWhole Body画像をCT装置のスカウト画像のように使用してSPECT/CTの収集範囲を設定することができ、非常に操作もしやすいと感じています。また、Fusion画像作成も解析用ワークステーションXelerisでAxial、Sagittal、Coronalを簡単に作成することができるため、日々有用な画像を読影医に提供することが出来ています。
30mAのCT画像
骨SPECT/CT Fusion画像
スマートコンソール画像
心筋血流シンチグラフィ/ピロリン酸シンチグラフィ
心筋血流シンチグラフィでは吸収補正のためにCT撮影を行っています。CTの吸収補正により、下壁部分の減弱の影響が改善された画像を出力することが出来ます。また、解析用ワークステーションXelerisで吸収補正あり・なしの比較画像を作成し、読影しやすい画像出力に努めています。
ピロリン酸シンチグラフィ検査では通常SPOT像における定量値、定性画像の評価により心アミロイドーシスの鑑別を行いますが、それに加えてSPECT/CTのFusion画像を作成することによって心筋へのピロリン酸の集積をより分かりやすく表示することが可能です。
テクネチウム心筋血流シンチグラフィ
上段2つ:吸収補正なしNC、下段2つ:吸収補正あり AC
ピロリン酸シンチグラフィ CT画像とのFusion
脳血流シンチグラフィ/ドパミントランスポーターシンチグラフィ
脳血流シンチでも吸収補正のためにCT撮影を行っています。従来のChang法では考慮されてないヘッドレストや頭骨による減弱も補正することができ、より正確な脳内分布が得られることが期待できます。また、ドパミントランスポーターシンチグラフィ検査ではCT画像を活用し、頭部のリフォーマット処理時にFusion画像上でCT画像を参照しながら角度調整を行っています。術者間の処理の誤差を減らすことにも、CT画像が役に立っています。
ドパミントランスポーターシンチグラフィ CT画像とのFusion
その他
当院では核医学装置を初めて導入しましたがNM/CT850の操作性も良く、スムーズに運用を開始することが出来ました。導入時の操作トレーニング以外にも、電話越しやコンソールや解析用ワークステーションの画面共有でのサポートにより日々安心して検査を行うことが出来ています。