現在2台体制で1日最大14件のPET検査を行っておりますが、いずれは1台体制での運用も視野に入れて機器選定を行いました。そのため、リング数が多い等体軸方向の撮影範囲が広く、短時間で検査可能な装置を条件としました。また、CTとPETのミスレジストレーションの無い画像を得るため、検査中に画像の確認ができるDirect MPR機能やPETとCT両方の呼吸同期ができることも条件としました。更新前がBGOクリスタルと光電子増倍管の装置であり、半導体検出器の装置でTOFも使用してみたい要望もありました。
機器選定を進めていくなかで、装置の性能や将来的なコストも考慮してDiscovery MIへの更新を予定していました。しかし、GEから最新のOmni Legend 32の提案をいただき今回の導入に踏み切りました。
Omni Legend 32は、1Bedの体軸方向撮影範囲は32cmと長く、オーバーラップ25%とすると約102cmの範囲が4Bedで撮影できるため、ほとんどの受診者を頭部から骨盤部までカバーすることができます。(図3)
Advanced Motion Free(AMF)でのデバイスレス呼吸同期が可能であり、PETは特別な操作なくルーチンで呼吸同期が可能です。また、今回、PETとCTの呼吸同期(Motion Match)も実施できるようバリアン社の呼吸同期システムも導入し、CTとPETのミスレジストレーションの問題が解消できます。Direct MPR機能もあり撮影が終わったBedから確認ができるのでCTとPETのズレを検査中に把握することができます。BGOの装置であるため、TOFは搭載されていませんが、Deep Learningを用いた画像再構成であるPrecision DL(PDL)を搭載しており、TOF様の画像再構成が可能となっています。PDLはHigh、Medium、Lowと強度の異なる3パターンがあり好みの画質を選択することが出来ます。(図4,5)
図3. 実際のプロトコル設定画面の一例
図3 は163.4cm 女性の撮影時プロトコル設定画面です。4Bed オーバーラップ25%で頭部から骨盤部まで余裕を持って撮影範囲に含めることが出来ます。
1Bedあたりの撮影時間を90秒とし体幹部の呼吸性移動のある部分には、Advanced Motion Free(AMF)を適用させています。AMF30~80%の50%のデータを使用するため、体幹部2Bedは180秒撮影としています。総撮影時間は9分となります。
図4. Q.ClearとPrecision DLのMIP画像比較(β500)大腸癌肝転移症例
(a)Q.Clear (b)LPDL (c)MPDL (d)HPDL
図5. Q.ClearとPrecisionDLのPET Axial画像比較(β500) 膵頭部癌術後肝転移症例
(a) Q.Clear (b)LPDL (c)MPDL (d)HPDL